[ English ]

4.10 Evola -分子進化データベース

 Evola (Evolutionary annotation database, http://www.h-invitational.jp/evola/)はH-InvDBで定義されたヒト遺伝子の分子進化データベースとして、ヒト代表配列(1配列/遺伝子座、2.3.2)と14種の脊椎動物とのオーソログ(オルソログ、ortholog:共通祖先遺伝子から種分化によって分かれた遺伝子)情報を提供しています。 また、ヒトと各生物種間でスプライシングバリアントを比較することもできます。
 EvolaへはH-InvDBの各所にある「evola_icon(樹木アイコン)」からアクセスできます。例えば、Transcript view(4.1)でヒト遺伝子を調べている時にアイコンをクリックすると、その遺伝子についてEvolaメインページで表示します。
 ここではEvolaの画面構成と使い方について解説します。Evolaのオーソログや遺伝子ファミリーの解析方法については 2.5 分子進化解析 を参照してください。

 なお、Evolaでは生物種は、"Human (Homo sapiens)":一般名(種名)、"Chimpanzee (Pan):一般名(属名)のように表記し、生物種ごとに色を割り当てています。

4.10.0 メニュー

4.10.1 トップ/検索ページ
- 4.10.1a トップ/検索ページ画面
- 4.10.1b 検索結果画面
4.10.2 メインページ
- 4.10.2a アラインメント (Alignment)
- 4.10.2b 遺伝子座 (Locus maps)
4.10.3 遺伝子ファミリーブラウザ
現在公開停止中です
ページ先頭へ

4.10.1 トップ/検索ページ

 Evolaの概要、更新情報、統計情報(オーソログ数と UCSCゲノムのバージョン)が表示されており、ここから検索ができます。このページは日本語と英語の両方で提供されています。

 4.10.1a トップ/検索ページ画面

Fig4_9_1a_j
図 4.10.1a トップ/検索ページ画面

  1. 共通ヘッダ
     画面上部に常に表示されます。左上のH-InvDBとEvolaのアイコンはそれぞれのトップページへのリンクです。右上にH-InvDBの詳細検索 (Advanced Search)へのリンクがあります。下部の黒い部分にはEvolaのメニューとして、ホーム(Evolaトップページ)、ダウンロードページ、問い合わ せ、ヘルプ(このページ)へのリンクがあります。
    • Download: ダウンロードページでは全オーソログリスト、それらの塩基/アミノ酸配列系統樹データ、およびオーソログ間のdN/dSデータをダウン ロードできます。
  2. 検索バー
     ヒト遺伝子のオーソログを下記3項目で検索できます。生物種やアノテーション種別(2.5 分子進化解析)を選択することで検索対象を絞り込めます。
    • Keyword:H-InvDBのヒト代表配列(2.3.2)の遺伝子名
    • Accession number:ヒトと他の脊椎動物の全配列のアクセッション番号(H-InvDB HIT and HIX, DDBJEnsemblRefSeq
    • Gene symbol:H-InvDBのヒト代表配列(2.3.2)の遺伝子シンボル(HGNC
  3. 関連サイト
    比較ゲノムブラウザG-compassへのリンクです。Evolaに関連する解析結果を公開しています。
ページ先頭へ

 4.10.1b 検索結果画面

Fig4_9_1b_j
図 4.10.1b 検索結果画面

  1. 表示画面切替
     1ページに5件ずつ、検索でヒットしたヒト遺伝子の代表配列(2.3.2)が表示されます。prevボタンとnextボタンで表示画面を切り替えることができます。
  2. 検索でヒットしたヒト遺伝子
     上部(水色部分)に検索でヒットしたヒト遺伝子の情報とEvolaメインページ(4.10.2)へのリンク(緑のViewボタン)があります。検索語(図では"lung cancer")は赤字で表示されます。下部(黄色部分)は生物種ごとにヒトとのオーソログの有無を表示します。オーソログがある場合、緑の▲をクリックするとアクセッション番号を表示します。
ページ先頭へ

4.10.2 メインページ

 左フレーム(左画面)にオーソログ情報、右フレーム(右画面)にはアラインメントと遺伝子座情報を切り替えて表示します。

Fig4_9_2
図 4.10.2 メインページ

  1. ヒト遺伝子のアノテーション情報と右フレームの表示切替
     H-InvDB ウェブサービス(3.4)でリアルタイムに取得したヒト遺伝子のアノテーション情報(アクセッション番号、遺伝子名、アミノ酸配列長など)が表示されます。ボタン(AlignmentLocus maps)で右フレームの表示内容を切り替えます。
  2. 分子進化情報とデータダウンロード
     遺伝子ファミリーブラウザへのリンク(公開停止中)、オーソログリスト、および配列や系統樹などのダウンロードリンクがあります。緑の▲をクリックすると表示内容を折りたたみます。
    • Ortholog:各生物種のオーソログ情報(詳細は 2.5 分子進化解析 を参照)
      • Computational analysis:比較ゲノム解析とアミノ酸配列の相同性解析にもとづいて同定されたオーソログ
      • Manual curation:Computational analysis のうち、分子系統解析によって遺伝子と生物種の系統関係が一致したオーソログ
      • 類似度(%):アミノ酸配列のペアワイズアラインメントにおいてアミノ酸残基が一致する割合(途中のストップコドンやフレームシフトはスキップして計算)
      • アラインメント長(aa)FASTAによるヒトアミノ酸配列とのペアワイズアラインメント長 (ストップコドンを除く)
      • Similarity searchSimilarity search:ヒト遺伝子の既知アミノ酸配列との相同性検索の結果(参考データ)
    • Data download:オーソログの配列データとオーソログ群/遺伝子ファミリー系統樹のダウンロード (系統樹推定に不向きな短い配列をMaxAlignを用いて取り除いている)
      • Sequence:オーソログの転写産物(RNA)配列(Transcript)とアミノ酸配列(Protein)(配列名の">BC042669_Mus. ddbj"などは「アクセッション番号_属名. 配列決定機関(hinv, ddbj, ensembl, refseq)」)
      • Gene family treeNewick形式のオーソログ群/遺伝子ファミリー分子系統樹データ。WAG+Γ-Fモデルに基づきWeighted Neighbor Joining (Weighbor)法を用いて推定した。Newick形式の木の表示には NJplotTreeView などが必要)
      • View by ATV:上記系統樹データの ATV | A Tree Viewer によるブラウザでの表示(表示されない場合、JAVA のインストールが必要)
  3. 右フレーム(切替表示フレーム)
     上記1.のボタン操作により、アラインメント(4.10.2a)と遺伝子座(4.10.2b)を切り替えて表示するフレームです。
ページ先頭へ

 4.10.2a アラインメント (Alignment)

Fig4_9_2a
図 4.10.2a アラインメント(Alignment)

  1. オーソログおよび遺伝子ファミリーのアラインメント
     ヒトと脊椎動物のオーソログ、および遺伝子ファミリー(ヒト重複遺伝子とそれぞれのオーソログ)におけるアミノ酸配列のアラインメントを表示します。オーソログ/遺伝子ファミリーの表示は、右上の Alignment of gene family/group または Alignment of orthologs で切り替えます。遺伝子ファミリーのアラインメントは、ヒトの重複遺伝子(パラログ)があり、かつ、全配列数が50本以下の場合に表示 されます。 これらの配列は、MAFFT でアラインメント後、ヒトに近い生物種順に並び替えられています。
    • 生物種名の表示:配列名(アクセッション番号、属名)の上にマウスカーソルを置くと、図中のチンパンジーのように一般名がポップアップ表示
    • 配列名末尾の "." と "_":"." がオーソログ、"_" がパラログ(遺伝子ファミリーのアラインメント)
    • ヒトパラログの [View] リンク:そのヒト遺伝子のEvolaメインページへ遷移
  2. アミノ酸の略号表記表
     上記1.のAmino acid abbreviationをクリックすると新規ウィンドウで表示されます。アミノ酸残基の1文字表記の色は ClustalX のデフォルト色に準拠しています。
ページ先頭へ

 4.10.2b 遺伝子座 (Locus maps)

Fig4_9_2b
図 4.10.2b 遺伝子座 (Locus maps)

  1. 凡例
     各生物種ごとに表示される遺伝子座の図の凡例です。
    • flagRepresentative transcript:ヒト代表配列(2.3.2)、および、他の脊椎動物の代表配列
    • rasvRepresentative alternative splicing variant(RASV):代表スプライシングバリアント(2.2)(ヒトのみ表示、代表配列も含まれる)
    • utrUntranscribed region(UTR):非翻訳領域(ヒトのみ表示)
  2. 遺伝子座(Locus maps)
     ヒトと他の脊椎動物のオーソログ遺伝子が属する遺伝子座(orthologous gene locus)の全配列を表示します。スプライシングバリアント(同一遺伝子座にあるエキソン構造の異なる遺伝子)の種間比較ができます。緑の▲をクリックすると表示内容を折りたたみます。画面上で離れた生物種を比較するのに便利です。
    • 遺伝子座情報:図の上部に、生物種名(一般名と属名)、ヒト遺伝子座 ID(HIX、ヒトのみ)、遺伝子シンボル(ヒトのみ)、遺伝子座の染色体上の位置を表示
    • g-integraG-integra:詳細情報を表示するゲノムビューワ G-integra(4.3)へのリンク
    • 遺伝子座図:遺伝子転写産物のエキソン構造の図示(最大50配列まで)
      • 配列の種類と色分け:各転写産物配列について、黄緑はDDBJ(H-Inv full-length cDNA)、緑はDDBJ(Other RNA)、青はRefSeq、オレンジはEnsemblのように色分けされ、それぞれ色が濃いほど転写産物とゲノムとの配列一致度が高い(2.0 H-InvDBアノテーション項目または4.3 G-integra を参照)
  3. 転写産物リスト
     遺伝子座に属する各転写産物のリストおよびオリジナルサイトへのリンクです。赤字がオーソログの転写産物です(代表配列または代表スプライシングバリアント)。ヒトは HIT ID およびアクセッション番号で表記されています。
ページ先頭へ
更新日:2010年12月3日