RASVの比較ゲノム解析法

ゲノム上にマップされたヒトRASVの位置は、BLASTZでアセンブルされたヒト−他生物ゲノムアライメント(類人猿とはC = 0, H = 2000, Y = 3400。それ以外の哺乳類とはC = 0, H = 2000)を用いることによって、他生物ゲノムに対して調べられた。エクソンの全長またはORF領域が閾値(Coverage = 70 % and Identity = 60 %)以上でマップされていれば、「ゲノム保存」と定義した。エクソンの全長またはORF領域が、ゲノムアライメント上で対応する他生物転写物のエクソンと同様の閾値以上でマップされていれば、「転写物保存」と定義した。エクソンがゲノムアライメント上にマップされなかったり、閾値以下でマップされた場合は「非保存」と定義した(図1A)。


図1A ヒトのエクソンと他生物のゲノム比較法

同定されたエクソンの保存度を用い、転写物単位での保存度についても決定した。1つでも非保存エクソンがあれば、「非保存」と定義した。非保存エクソンが存在せず、ゲノム保存エクソンが存在していれば「ゲノム保存」と定義した。転写物保存エクソンのみで構成されていれば、「転写物保存」と定義した(図1B)。


図1B エクソンの保存度を用いた転写物単位の保存度判定法

転写物保存RASVのうち、ヒトのみならず対応する他生物の転写物も全て転写物保存エクソンで構成されていた場合、それらを「同一スプライシングバリアント(ESV)」と定義した。ローカス内に2つ以上のESVが存在していれば、それらを「保存AS」と定義した(図1C)。


図1C 転写物保存RASVの高次保存レベル